「重い障害のため、言葉ではなく絵で思いを伝える哲さんのアート展」

作品

「ピンクのさかなとみどりのぱぱ(部分)」

 

「ピンクのさかなとみどりのぱぱ」(上)は、哲さんが10歳頃から描き続けている想像上のいきものです

 最初の頃は何を描いているのか全くわかりませんでした。いつも同じ絵を描いていると思っていたのですが並べてみると表情がみんな違っておりました。二つのいきものの会話が突然きこえだしたのです。「ぱぱイコールお父さん」ではなく、「ぱぱイコール哲」のようだと気づくまでには長い時間がかかりました。そしてこの絵の裏にはいつもドアの絵が描かれていました。ピンクのさかなとみどりのぱぱは笑ったり、おこったり、なぐさめたりしあっていつも四角に囲まれて描かれていました。心療内科で安定剤ばかりが増えていた時期、主治医の提案で絵をセラピーにすることにしたところ、先生は「この絵を描いている時の哲ちゃんの心はとても安定しているようだ」とおっしゃいました。パニックやフラッシュバックの嵐の中にいたあの頃、この絵がわたしたち家族の支えとなりました。

 

 現在の哲はとても穏やかになり、セラピーは受けていません。仕事も絵を描くことにしてもらってから日中活動に参加できるようになりました。今も「ピンクのさかなとみどりのぱぱ」を描いていますが、私は言葉で伝えられない思いをこの絵たちが伝えているように思えてなりません (家族の声)